市販されている禁煙補助薬を薬剤師が詳しく解説

これから禁煙を考えている方、現在自力で禁煙を頑張っている方に参考になるように作成しました。

まず私の禁煙を達成するための一番のおすすめは市販の禁煙補助薬ではなく、医療機関を受診して行う禁煙外来です。

やはり禁煙成功率が違います。

日中に時間がとれて、禁煙外来に行ける方はそちらを優先してください。
別の記事で禁煙外来について解説していますのでご参考に。

しかし、禁煙を目指している方の中には、日中に時間を作れず医療機関を受診できない方もいると思います。そういった方に向けて市販の禁煙補助薬について解説いたします。

つらいと思われがちの禁煙も禁煙補助薬を用いることで、禁煙後の離脱症状(禁断症状)が緩和され、比較的楽に禁煙することができるようになります。

もくじ

市販の禁煙補助薬にはすべてニコチンが入っています。

市販薬の禁煙補助薬を使用して行う治療法をニコチン置換療法と言います。

禁煙補助薬はタバコに含まれるニコチンをタバコ以外の方法で摂取することにより体の中のニコチンが減って起こるイライラや集中力の低下といった離脱症状を緩和・起こさないように禁煙の補助を行います。

市販のニコチン製剤のニコチンを段階的に減らしていき、体の中のニコチンがなくなっても離脱症状が起きないよう無理のない禁煙へと導いてくれます。

禁煙補助剤のニコチンは害はないのか?

害はあります。

しかしタバコの場合、喫煙している限りニコチンは吸収され続けます。

またタバコには3大有害物質としてニコチン、タール、一酸化炭素が含まれています。

タールは発ガン物質として有名なベンツピレンをはじめ、アミン類など数十種類の発ガン物質が含まれています。

一酸化炭素は血液の酸素運搬機能が阻害され、酸素欠乏を引き起こします。

禁煙補助剤は定められた使用期間で禁煙に導き、その後使うことはありません。

禁煙補助薬のニコチンの使用はあくまでタバコをやめるために使用されています。

市販の禁煙補助剤をみてみましょう

現在、ニコチンガムとニコチンパッチが薬局やドラックストアで市販されています。

ニコチンガム

ニコチンガムは文字通り、ガムの医薬品です。

噛むことで薬剤がガムから放出され、口の粘膜からニコチンを吸収させるタイプのニコチン製剤です。

「吸いたくなったら噛む」という対処的に禁煙を目指す方におすすめです。

タバコの代わりにガムを噛むという方法です。

ニコチン製剤を選択する場合、ガム製剤かパッチ製剤(貼付剤)になりますが、
効果は同等と言われています。

どちらを選択しても禁煙成功率に大きな違いはありません、少しパッチのほうがいいかなくらいです。

ニコチンガムは1日の喫煙本数によって治療期間は異なりますが、

  • 20本以下/日であれば8週間のうちにガムの使用量を徐々に減らしていきます。
  • 21本~30本/日であれば10週間のうちにガムの使用量を徐々に減らしていきます。
  • 31本以上/日であれば12週間のうちにガムの使用量を徐々に減らしていきます。

治療期間は目安であり、その期間に満たない場合でも禁煙を達成し禁煙を継続できると自信があれば終了しても問題ありません。

しかし、禁煙成功のあとに再度タバコを吸ってしまう方も少なくありません。

無理をせず、長期的な禁煙達成に向けて禁煙補助薬を使用してください。

ニコチンパッチ

ニコチンパッチは朝にパッチを貼り、寝る前にはがす使用方法が簡単な医薬品です。

この医薬品はタバコを吸いたいという欲求を予防的に減らしてくれます。

貼っている間に禁煙に必要なレベルのニコチンを安定して皮膚へ放出し体に入っていきます。

日中にあまりタバコを吸いたいと思ったときにガムを噛むことができない方や、少しでも禁煙成功率が高いほうを選びたいという方にニコチンパッチはおすすめです。

ニコチンパッチによる治療期間は8週間です。

ニコチンパッチ20を6週間使用し、その後ニコチンパッチ10を2週間使用します。

ニコチンガムと同様ニコチンガム20を6週間使用した時点で、離脱症状がなく禁煙を継続できると自信がある方はニコチンパッチ10を使用しなくても大丈夫です。

ニコチンパッチの場合、禁煙外来で処方される医療用医薬品に比べて用量が少なく、もともとのタバコの量が多い方はニコチンの補充が足りずに離脱症状が強く出る可能性があります。

吸っているタバコよりニコチン含有量が多くても問題ありません。

禁煙補助薬を使用していても、血中のニコチンの量はタバコを吸ったときに比べて低い量になります。用法・用量通り使用していれば、極端に多い・強いことはありません。